チューニング

戦後、先進工業国として復興した日本は電気・電子工学の初歩は
中学生くらいでも習えて、技能、芸術を教える教室があり、そんな雑誌は
本屋でも売っていた。町内にも塾があって、放課後、塾へ通う同級生も多かった。


工業系の学校や生徒は必要な割に受験生の人気はあまり集まらなかった。
大手進学塾が発表する合格可能圏偏差値が低かったためか、女子生徒数が
少なかったためか。


ドラゴンボールのブルマは理工系女子で、自作の小型飛行機に乗って移動している。
ヤムチャは空を飛べないが、背の高さがちょうどいいため、ベジータやセルも
見れないものを見れている。同じようなものを見れたのは亀仙人くらいである。
そんなことはどうでもいい。


ラジオが作れるという技能は、作れない人もいるため、またラジオの原理が
理解できているだけでも相当なポイントである。
あなたは電波、通信機、電子回路に関することを学んだことがあるかもしれない。
発振、共鳴、波という言葉に関心があったかもしれない。


電波の受信のため、電波の取り入れ部(アンテナ)を立てる。
そして検波・同調。
受信機の側面、または前面に指で回せるツマミがあって、
このツマミを右か左か回すと受信機の音声アウトプットが変化する。
雑音ばかりから雑音が少なくなって、音声が聴こえるようになり
ツマミをゆっくり回し雑音が消えていって、音声が一番よく聴こえる所でツマミを離す。
普通ツマミといっしょに針が、数字が記されている盤上を移動し
チューニングがし易くなる。


これは手動式で自動式のものもある。自動車搭載用のラジオはボタン式で
初めて見た時「便利でいいな〜」と思った。あれは自動式でなくプリセット式というのか。


TVが普及して、この局合わせも、最初ダイヤルで大まかに合わせて、さらに微調整。
ダイヤルの周りにあるリングを回すと、画像がよく映ったりたりする。


TVの方がラジオより、この作業が複雑になる。
水平同期、垂直同期なるツマミもあった。
上手い人は難なく出来る。へたな人ばかりで、外出していた上手い人が帰ってくると、
「おおっ!いいところへ来た。さぁやってくれ」
「な、なにをやるんだ?」
下校して来た子供が、目をキョロキョロして、状況を冷静に判断し
「また、いつものか」ため息などついている間に、シラーとした顔でTVの方へ行って、
「はい、先生どうぞ、どうぞ」とバカにされながらもヘソを曲げず、TVのようすを見て
ツマミをいくつか回すと、ピタリとチューニングは合う。
子供のほうが正しく操作するのでチューニングが上手かったりする。
おめでたい大人に「いい子、いい子」と頭を撫ぜられ、それにもめげず冷蔵庫を開け、
「これいい?」と断りながら、ゆうべの夕食のソースのかかったコロッケの残りの皿を
出して来て、テーブルに置いて、誰かの食いかけのコロッケを、お茶をいれて飲みながら
食う。こういう子どもは少なからずいて、追っかけるより、追っかけられる方である。
そういう話がしたいんでなく、本題


集積回路(IC)の発明で電気機器の小型化が可能になり、ソニー製のラジオがヒット商品になったりした。チューニングのツマミが前面にあるものと、側面にあるものがあって、
デザインによっても売れ行きが変わる。
あと若者・マニアが欲しがるのは微調整のし易いインジケーター付き。
ツマミを回し周波数帯パネル上の針の移動を目で追いながら、最共振箇所を小ランプの点灯で示すインジケーターと、共振度を目盛り付きメーターの針の振れで示すインジケーターがあって、ソニー製はいつも売れ行きランキング上位で、2位とか1位にもなった。何度も。


前置きが長くなった。


話をマテリアル(理工)に限定する。
波というのは、爆発のような何らかの大きな変化が、まず隣接箇所から、そして反響は外側へも内側へも押し合いへしあい
そして序々に外側へ伝播していく現象である。波は発振源から遠ざかるほど小さくなり衰退してゆく。
楽器を叩いたり、閉所で声を出すと、音波が壁での反射を繰り返し、音の衰退まで時間がかかり、いわゆるエコーが発生する場合がある。山間部のこだまという現象も同様。


放送局は電波を発信する。ある周波数の波が弱まらないのは、波の発信源方向へ波の反射が発生する場合である。
待ち受けている周波数の波を受信した時、また期せずして素敵な波を受信した時。


伝播する波に対し、いろいろな受信者がいる。
共振が発生するとその波の衰退が弱まる。
これらの受信者、送信者はなんらかの部分で同じ振動数を持つ。